江戸時代、庄内藩主が、日本海に面していることもあり、武士の鍛錬の一つとして、釣りを
奨励したことから、競って自慢の釣り竿を持ち始め、やがて家の貴重なものとなり、その中
で生まれたのが庄内竿である。

庄内の竿師が、地元の竹(苦竹)一本一本を吟味し、手間暇を惜しみなく、長い時間をかけ
て作る「庄内竿」は、明治・大正に入ると武士の釣りから庶民の釣りへと移り、長い年月を
経て今日までに伝わり、今に後継する。現在竿師も少なくなり、優美な「庄内竿」はまさに
貴重な伝統工芸品です。

庄内竿は根元から穂先まで1本の竹で作られており、寿命も長く、代々遺言竿として引き
継がれ、大正、昭和初期に作られた「庄内竿」も、大事に手入れをして、今もなお使用され
ています。

   

  

 【素     材】    庄内竿(根元)    
 山形県庄内地方に群生する苦竹(食用でない)の4年物
   が素材。最近は住宅開発等で”若竹”その物が無くなり、
   かつ庄内竿に出来る竹は50〜70本に1本位であり、長
   竿(3間以上)にできる物は皆無である。
 【製     造】
 4年物を取ってから5〜6年日陰で干し、完全に油を抜く。
   荒のしから始め、1本の庄内竿が出来るまで概ね10年位
   である。
 【作  者  名】                
 現在は1〜2名となった。素材選定から1本の庄内竿に仕
   上げるまで10年位かかり、かつ維持に手間隙がかかる事
   から、ニーズが手軽に扱える近代竿(カーボン等)に押され、
   生計が成り立たない。
 
 【名     竿】
 美人である事が第一条件(根っこ、節々の間かく、節の太
   さ)、次に調子である。長竿ほど胴調子又は元調子といわ
   れている。
 【伝     統】
 名竿ほど遺言竿として代々引き継がれ家宝となっている。
   現在は庄内竿を持っている人も少なく、かつ、高価である
   ため骨董品として飾っているのが大半である。