今年は異常な寒さと、雨が多かったためか、山や庭の木々も燃えるような赤や黄色に彩られることなく、茶色に装いをかえてしまいました。 稲の刈り取りの大幅な遅れと不作のために、親戚の米屋の倉庫には例年の三分の一しか米が入っていないそうです。 富田通信を書き終えてホッと一息の先月の12日の夕方、日本吟醸酒協会の前会長の篠田次郎さんから、相変わらずのお元気そうなお声で電話がありました。その折に伺ったお話が大変興味深い内容でしたので皆様にご紹介いたしましょう。 篠田さんの話によると「豊作の年に腐造(酒が仕込み中、或いは仕込み後に腐る事)あり、凶作に腐造なし」なのだそうです。 |
なぜ、このような事が起きるのでしょうか? そのわけは、豊作の年の米は硬いことにあるそうです。豊作の年の米は硬いために、酒を造る時に米が溶けにくく、醗酵のバランスがくずれて、酒が腐りやすくなるのだそうです。(もっとも、酒造技術の発達した現在は、酒の腐造という話はあまり聞かなくなりましたが) 反対に、不作の年は、 (1)酒を造る杜氏の大半が農家出身であるために、不作の年は特に米を大事にし、ていねいに酒を造る。 (2)不作の年は米が軟らかいために、酒の醗酵が早まりやすくなるが、それを抑えるために低温で酒を仕込む。という理由で、非常にいい酒ができやすいのだそうです。 酒を愛する読者の皆さん、来年の酒は、量の面ではちょっと気掛かりですが、質の面では非常に期待できそうですヨ。 |
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「吟醸とは何ぞや、という問題であるが、一口にいえば、芳香醇味である酒のことである。別の言葉でいえば、吟醸香が強く高くあり、吟醸味が豊かに含まれている。これを飲めば爽やかで旨く、飲めば飲むほど心をそそられ、いやが上にも飲みたくなって、ほがらかに酔うものをいうのである。原料の粋をつくし技術の最高をもってして、はじめてできる最高級の醇良酒である」 さすがに、吟醸の神様といわれる人の言葉ですね。 |
人にも、そねみ、ねたみ、うらやみ、やっかみ、ひがみなどの五みがあるといわれますが、やはり、酒は、それらから離れた中にあって、大自然との一体感を味わいながら、吟醸味あふれるやつを、しみじみやるのが一番ですよね。 乾杯! | |
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