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10月1日は日本酒の日だよね? ほんとに今年は台風の当たり年です。9月末に21号が上陸し、年間上陸回数記録を8に伸ばしました。今また22号が日本の南海上にいて北上中です。イチローが84年ぶりにシスラーの持つ大リーグ年間安打数257を塗り替え、262安打を達成したのと競争でもしてるかのようです。 さて、この前テレビを観ていたら、10月1日はなんの日でしょう? とアナウンサーが言っていました。もちろん「日本酒の日」というのだろうと思っていたら、なんと「コーヒーの日」なんだそうですね。なんでも、1983年に全日本コーヒー協会が決めたそうです。1978年に日本酒造組合中央会が10月1日を「日本酒の日」に定めたんだからこっちの方が先だいとテレビに文句を言いたかったのですが、考えてみれば最近、この「日本酒の日」という言葉をほとんど耳にしなくなりました。 日本酒が年々衰退していく原因はどこにあるのでしょう。いろいろと考えられますが、その一つに最近の異常なまでの健康食ブームがあるのじゃないかと思います。つまり、いわれのない理由で日本酒=不健康、焼酎=健康のイメージができあがってしまってるんじゃないかと思うのです。でも、これは本当のことなのでしょうか。 今回の富田通信は「日本酒の日」にちなんでこの辺を書いてみましょう。 焼酎(蒸留酒)と肝臓ガンの関係 富田通信197号「焼酎は身体に良い???」で、あくまでも私の考えですがとした上で、焼酎が身体に良いといわれる理由は、裏を返せば焼酎のアルコールはそれを処理する肝臓に多大の負担を掛けるのではないだろうかと推論を書きました。 ところが、篠田次郎さんが書いておられる『幻の日本酒を飲む会ニュース』の今月号に「日本酒のぬれぎぬを晴らす・他酒類のことはいいたくないが」の題で、私の推論を裏付ける驚くべき調査報告が載っていました。以下に紹介します。 『某漁村における肺癌および肝癌の過剰死亡に果たす喫煙および焼酎の役割』 これは、昭和59年に発表された20年間にわたる「疫学的」調査報告(昭和59年10月 第43回日本癌学会・久留米大学医学部公衆衛生教授 広畑富雄先生)です。 《論文のあらまし》 対象 九州の某農村と漁村 1960年から20年間 食餌調査、嗜好品調査、血液検査(血中コレステロール値など) 両地区の比較結果(死亡者数) 全体 胃癌 肝臓癌 肺癌 農村 75名 37名 5名 6名 漁村 104名 40名 22名 16名 ○癌による死亡にかなりの差異がある。 ○胃癌では差がない。他の部位でも差がない。肝臓癌では5名と22名と大差があり、肺癌でも6名と16名と差がある。 ○漁村で癌が多いのは、肝臓癌と肺癌が多いためとわかる。 肺癌について 漁村地区はヘビースモーカーが多い。 肝臓癌について 漁村では焼酎を好む人が多く、しかも量も多い。 −対象の人々と一般の人々の「期待死亡数」を比較− (以下の「O」はアルファベットの「O」である) 観察死亡数=O 期待死亡数=E を比較(※観察死亡数とは、その地区で発生した数。期待死亡数とは、その地区の人口に平均発生率を掛けたもの) *漁村 O=22 E=5.4 と大きい差が出た。その理由は焼酎を好む人が 多く、全体の45%である。 −そこで酒類を飲まない人、日本酒を飲む人、焼酎を飲む人を、その量ごとに分けて分析を進める− *酒類を飲まない人 O=2 E=1.9 で差がない。 *日本酒を飲む人 O=1 E=1.0 で差がない。サンプル数が少なく偶然 変動大で真の基準にはなり得ない。 *焼酎を飲む人 全体 O=18 E=2.4 OとEの比7.5倍の危険 ・毎日2合以上の人 O=4 E=0.2 で20倍 ・毎日1〜2合 O=6 E=0.8 で7.5倍 ・毎日1合未満 O=8 E=1.4 で5.7倍 量が増えると影響も大きくなる。上記データに「量・反応関係」が認められる。 以上が昭和59年に日本癌学会で発表された驚くべき調査報告です。 なぜ、このような衝撃的内容の論文が社会にまったく認知されていないのでしょう。当時、某大手ウイスキーメーカーが「この焼酎飲酒による肝臓癌の多発は、広く蒸留酒が持つ特性であるから、ウイスキー愛飲者にも同じことが起こるはず」として、圧力を掛けて闇に葬ったといううわさがあるそうです。 さらに、篠田さんが先の広畑先生の論文について肝臓病の権威新潟大学名誉教授市田先生に質問したときに聞いた話として「蒸留酒は、薄めて飲んでも肝臓への負担は変わらない」ということと、「蒸留酒をよく飲む国では肝臓疾患が多い」という話を紹介されてました。 健康にいいからという理由で焼酎を飲んでいるあなた、くれぐれも肝臓には注意してくださいね。 それでは、美味しい日本酒で乾杯! |
商 品 紹 介 |
出羽桜『大古酒 枯山水』 |
枯山水専用の熟成蔵・千歳蔵(年間プラス5度)で三年間低温熟成させた「枯山水」が今年も発売されました。サラリとした上品な熟成味は、毎年多くの酒通をうならせています。 「燗上がり」する酒で、お燗をするとその味わいがさらに柔らかに優しくなり、お燗の苦手な人にも、お燗の素晴らしさがお分かり頂けると思います。 内容:度数/15.5% 酸度/1.3cc 日本酒度/+5 米・精米歩合/麹米・美山錦 55% 掛米・雪化粧 55% 本醸造三年大古酒 1.8L 3100円 |
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○先月28日、新庄・最上地区のそば屋さんの「そば大学」で、講師をしてきました。私に与えられた演題は「そばと日本酒」。先月号の富田通信は、実はその時の講演資料の一部なのです・・・ゴメン。生徒は全員、おそば屋さん。プロ相手にそばのことをしゃべってもすぐに馬脚を現してしまいますので、講演はもっぱら、酒の話に終始することに。講演後、皆さんからの熱心な質問に応じながら、楽しくそば前を堪能しました。いや〜、やはり美味しい日本酒はその後のそばを引き立てますね。役得の一日でした。 |
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